
ドローンで映像を撮影するとき、重要な機材の一つが「NDフィルター」です。
NDフィルターは、カメラに入る光の量を抑えるためのフィルターです。分かりやすく表現すると、カメラ用のサングラスのような役割があります。
晴天時のドローン撮影では光が強すぎるため、NDフィルターを使わないとシャッタースピードが必要以上に速くなり、映像が細かくカクついて見えることがあります。
今回は、ドローン撮影におけるNDフィルターの役割と、ND8・ND16・ND32・ND64の使い分けについて解説します。
【写真:株式会社IdoAirが撮影で使用しているND8・ND16・ND32・ND64のドローン用NDフィルター】
NDフィルターの主な役割
NDは「Neutral Density」の略です。
レンズから入る光を均等に減らし、色味への影響をできるだけ抑えながら、適正な露出を作りやすくします。
特にドローンの動画撮影では、自然な動きを表現するためにシャッタースピードを調整する必要があります。
一般的な目安は、フレームレートの約2倍です。
- 30fpsで撮影する場合:1/60秒前後
- 60fpsで撮影する場合:1/120秒前後
しかし、日中の明るい場所でこの設定にすると、光が入りすぎて映像が白くなってしまいます。そこでNDフィルターを装着し、光量を抑えながら適切なシャッタースピードを維持します。
NDフィルターで映像が滑らかになる理由
NDフィルターを使用せず、晴天時に1/1000秒などの速いシャッタースピードで撮影すると、一つひとつのフレームが鮮明に止まりすぎます。
静止画として見るとシャープですが、動画として再生したときには動きが硬く、カクついた印象になることがあります。
NDフィルターを使用してシャッタースピードを適切に下げることで、被写体や地面の動きに自然なモーションブラーが生まれます。これにより、ドローンが移動する映像でも滑らかで映画のような表現が可能になります。
ND8・ND16・ND32・ND64の違い
NDフィルターに記載されている数字は、光をどの程度減らすかを示しています。
フィルター 光量 使用場面の目安
ND8 8分の1・3段減光 明るい曇天、朝夕、日差しが弱い時間帯
ND16 16分の1・4段減光 晴天の午前や午後
ND32 32分の1・5段減光 日中の晴天
ND64 64分の1・6段減光 真夏の強い日差し、雪景色、海上など非常に明るい環境
この表はあくまで目安です。
同じ晴天でも、太陽の向き、雲の量、地面の色、雪や水面の反射によって必要なフィルターは変わります。撮影前にヒストグラムや白飛び警告を確認し、その日の光に合ったものを選ぶことが大切です。
北海道の冬季撮影では、雪面からの反射によって想像以上に明るくなるため、ND32やND64が必要になる場合もあります。
静止画でもNDフィルターは必要?
NDフィルターは、特に動画撮影で効果を発揮します。一方、通常の空撮写真では必ずしも必要ではありません。
飛行中のドローンは風や機体の振動の影響を受けるため、静止画ではシャッタースピードを速くして、ブレを防ぐことが優先されます。
ただし、川や波、車の流れなどを意図的にぶらして表現する長時間露光では、NDフィルターが役立ちます。
また、測量・点検・記録撮影では、映像的なモーションブラーよりも細部の鮮明さが重要です。そのため、撮影目的によってはNDフィルターを使用せず、速いシャッタースピードを優先します。
NDフィルター使用時の注意点
NDフィルターは、濃いものを装着すればよいわけではありません。必要以上に暗いフィルターを使うと、ISO感度が上がり、ノイズが増える可能性があります。
また、フィルターの品質によっては色かぶりや解像感の低下が発生することもあります。
撮影時には、次の点を確認します。
- 使用するドローン専用のフィルターを選ぶ
- レンズ面の汚れや指紋を確認する
- 機体への取り付け状態を確認する
- ISO感度、シャッタースピード、ヒストグラムを確認する
- 飛行前に各カメラの映像を確認する
なお、通常のNDフィルターには、水面やガラスの反射を直接除去する効果はありません。反射を抑えたい場合は、偏光効果を持つND/PLフィルターを使用します。
NDフィルターは映像品質を支える重要な機材
ドローン空撮では、機体を飛ばす技術だけでなく、光の状態を判断してカメラを適切に設定する技術も必要です。
NDフィルターを正しく使用することで、日中の明るい環境でも自然なモーションブラーを保ち、滑らかで見やすい映像を撮影できます。
株式会社IdoAirでは、天候、時間帯、撮影場所、使用目的に合わせてNDフィルターやカメラ設定を選定しています。
札幌・北海道を中心に、企業PR、観光、建設、不動産、イベントなど、全国のドローン空撮に対応しています。撮影内容や飛行場所についても、お気軽にご相談ください。